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きゅうりとなす

少し前、急に、小さな頃お気に入りだったワンピースを思い出した。
母の作ってくれたワンピースだ。

夏の日差しみたいにからっとした黄色に、ひまわりかマーガレットみたいな花が生地いっぱいにきゅっと詰まっていて、ウエストからふわりと広がるシルエット。袖はないノースリーブで、肩紐になっていた。
その、紐と身頃の重なる場所には、オレンジの半球のプラスチックボタンがついていた。
グミみたいにつるりとした半透明のボタンがお気に入りで、よくうつむいてさわっていた気がする。
記憶の中のワンピースは見下ろしている映像化しかない。

なんでも作れる母だった。
ワンピースも、粘土の花も、にんじんのケーキも、バレエの衣装も、ぬいぐるみも。

消えたワンピースの裾が頭の奥でひらひら揺れる。
痛いくらいに強い日差しをボタンがきらりと跳ね返す。

今年もすっかり夏。
きゅうりとなすの季節がきた。






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2015-08-12